親子の田植え体験を見学して
札幌近郊で行われた、親子の田植え体験を見学する機会あった。
お米の生育とか、食べものへの理解を深めてもらうのが、目的だそうだ。
ふだん口に入れている食べ物でも、
どうやって生産されるのか、分からないことが多いものだ。
広い水田が広がる田園風景は、心を和ませてくれる。農家に生まれ育った僕としては、
心底懐かしい風景に見える。
水がなみなみと張られた田んぼ。
現代は機械化だから、田植えも田植え機で行う。
農家の人もでさえ、手で植えるのは田んぼの隅のほ
うとか、補助的にちょっと行う程度だという。
田植え参加者は、親も子も裸足。
水田を見るのは初めてという小学生くらいの子は、
なかなか水で満たされた泥の田んぼに足を入れることができないでいる。
中には、泣き出す子もいれば、何度か経験があるのか、さっと入って、小さな苗を手植えする子もいる。
経験の違いは、とても大きい。
親子で、こんなふうに、田植えができるのは、素晴らしいことだ。
毎日、食卓にのぼるご飯のことだけでも、
親子で話ができる。
僕も裸足になって、ぬかるみに入った。
とても、懐かしい感じがした。
僕は農家で生まれ育った。
子どものころは、よく手伝いをしたものだ。
農家は家族労働だから、子どもも大事な働き手(笑)。子どもにでもできる仕事は、けっこうあるものだ。でも、機械化の現代は、どうなんだろうね。
足もとは、柔らかい泥の底なし沼のような感じで、
うっかりすると転んでしまう。
実際、転んで泥だらけになった子もいて、
体験の田んぼは、にぎやかな雰囲気に包まれた。
植えられた弱々しい小さな苗が、田んぼで風に揺れている。
それが太陽の光と水の力で、ぐんぐん成長する。
そして、豊穣の秋を迎える。
米作りをはじめとする人を生かす食物の栽培は、
神事なのかもしれない。